君の嘘から始まる本当の恋
4.君がわからない
「…か…ん。…杏花ちゃん!」



ハッと前を向くと、心配そうな顔で私を見ている乙葉と目が合った。



「どうしたの?最近ずっとぼーとしてるよね。もしかして、体調悪い?」


「え、ううん!なんでもないよ!」



いくら乙葉にでも、仕返しをするんだとあんなに意気込んでいたくせにあっさり好きになりかけてます、なんて言えるわけがない。



…そうだ、この気持ちは誰かに気づかれる前に早く消さなくては。


私のことを好きになってもらわないと、復讐ができないんだから。私が玲央のことを好きになっている場合ではない。



「そうだ、最近玲央くんとは順調みたいだね。名前で呼び合ってるし、相変わらず一緒に登下校してるし」


「え、あーそうかな…?自分では作戦が順調か、いまいちよくわかんなくて…」



この前瞬くんのことを嫉妬してくれたと思ったけど、よく考えればあれも演技かもしれない。
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