病んだ心をつまびいて




ハッと顔を上げる。


ひらけた意識の先で、いちばんに感じたのは鉛のような胃の重たさだった。



「平石、おまえ、寝不足か?」



降ってきた声に視線を向けると、見覚えのある男性。



「あ」



こぼれた私のマヌケな一音に、そのひと、現国の石神先生がため息をついた。



「おまえはいつも真面目にやってるから今回だけは見逃してやるが……次はないぞ。いまは大事な時期なんだから、気を引き締めなさい」

「すみま、せん……」



石神先生が教卓へと戻っていく。


そうだ……授業中だった。
いつ寝落ちてしまったのかな。
やってしまった。



クラスメイトからの視線を感じる。


クスクスと悪意の滲む笑い声も聞こえてきて、ようやく羞恥心が湧いてくる。



もう、最悪だ。
しっかりしないとなのに。



「……」



また、夢を見た気がする。


どんな内容だったのかはあいかわらず覚えていない。


どうしてなんだろう。
こんなに1ミリも覚えていないことなんてあるのかな?


シャーペンを持ち直して黒板を見つめた。


今日は雨が降っていた。



< 252 / 272 >

この作品をシェア

pagetop