病んだ心をつまびいて
ハッと顔を上げる。
ひらけた意識の先で、いちばんに感じたのは鉛のような胃の重たさだった。
「平石、おまえ、寝不足か?」
降ってきた声に視線を向けると、見覚えのある男性。
「あ」
こぼれた私のマヌケな一音に、そのひと、現国の石神先生がため息をついた。
「おまえはいつも真面目にやってるから今回だけは見逃してやるが……次はないぞ。いまは大事な時期なんだから、気を引き締めなさい」
「すみま、せん……」
石神先生が教卓へと戻っていく。
そうだ……授業中だった。
いつ寝落ちてしまったのかな。
やってしまった。
クラスメイトからの視線を感じる。
クスクスと悪意の滲む笑い声も聞こえてきて、ようやく羞恥心が湧いてくる。
もう、最悪だ。
しっかりしないとなのに。
「……」
また、夢を見た気がする。
どんな内容だったのかはあいかわらず覚えていない。
どうしてなんだろう。
こんなに1ミリも覚えていないことなんてあるのかな?
シャーペンを持ち直して黒板を見つめた。
今日は雨が降っていた。