病んだ心をつまびいて
「茜ちゃんはひとりじゃない。死ぬときは呼んで。生きたいときは教えて。どこまでも連れて行ってよ。僕の命はきみに捧げるためにあるんだから」
おかしいな。
新山くんにも、共に死のうと言われたことがあるのに。
なぜアズマさんには恐怖が湧かないのだろう。
それどころか
「アズマさん……」
手を伸ばし、涙の止まらぬ目じりをなぞる。
「死にま、せん」
アズマさんはまぶたを大きく開くと、まばたきもせずに雫を落としていく。
「お粥……おいしかった……」
「……」
「おいしかった、ので……もうすこし、頑張ってみます」
たったそれだけだ、理由なんて。
でも、たしかに温かいものが胸に灯っていた。
私のために泣いてくれる優しい人。
この人を遺して、どこにもいけないとおもった。
アズマさんがなにかをつぶやいている。
あいしてると、言われた気がした。
やってきた睡魔に抗えず、沈んでいく。
こんな気持ちのまま眠りにつけるのはいつぶりだろう。
「ありがとう、アズマさん……」