病んだ心をつまびいて
「私……死のうと、おもってたんです、今日」
私の肌を甘やかしていたくちびるが止まった。
「とてもいやなことがあって。もう消えてしまおうと……なにもかも手放そうとおもってた」
「……」
「弱いんです、私、すごく弱い。アズマさんが思うような人間じゃない」
「……」
「あきらめてください……ごめんなさいっ」
優しくされたくなかった。
求められたくなかった。
まだ生きていたいとおもってしまう。
世界のすべてが怖くて目を閉じる。
そんな私のくちびるに、やわらかいものが重ねられる。
あっというまに離れていくと
「なら……一緒に死のう」
頬に、水滴。
まぶたを開くと、涙をこぼすアズマさんがいた。
「なにもしてあげられなくてごめん。死にたいとおもうほど辛い時間を過ごした茜ちゃんに、また心を摩耗させるようなことを言った……」
「アズマさ……」
「死にたいのならそれでいい」
「……」
「僕も一緒に死ぬ。ふたりならきっと怖くないよ」
ポタポタ、私の肌を濡らす美しい透明な粒が、心の爛れを覆うように伝っていく。