病んだ心をつまびいて
「……おまえ、ヤバいやつに惚れられてるんじゃねーよな?ヤクザとか」
「ヤクザと同じくらい怖いよ、あのひとは」
「……」
「正直、新山くんも少しこわい……これ秘密ね?」
「なら別れちまえよ……」
「まだ付き合ってもいないよ」
「は?まてよ、新山のやつ、おまえのこと自分の女だから手ェ出すなって……」
「それは新山くんが私を守るためにしてくれたこと。まだ恋人ではない」
「……まじ意味わかんねぇおまえら」
それは同意。
どうしてこんなにこんがらがったのか、私が知りたい。
早瀬はあきれたようにため息をつくと、スマホで時間を確認し、私の腕をつかんで「戻んぞ」と歩き出す。
「早瀬……私なんかと関わらないほうがいいよ。早瀬の評判まで悪くなる」
「もともとそんなによくねーよ、俺」
「ふっ……わかる」
「はぁ?うぜー」
そのままふたりで教室へと入った。
朝礼のチャイムとほぼ同時。
クラスメイトの視線が一気に集まるけど、早瀬がそれを遮るように私の前を歩く。
広い背中に、はちきれそうな心臓がすこしだけゆるんだ。
刹那、全身を刺す強烈な視線。
眼球だけを動かすと
新山くんが、真っ黒な目で私のことを凝視していた。


