病んだ心をつまびいて
「おまえさ、新山のことほんとーに好きなの?」
「好きだよ……好きだから会いたくないの」
「新山も、おまえのこと好きだよな」
「いまはわかんないよ。あの動画本物だし……なにを言われてもなにを思われても、私に否定する権利ない」
嫌われたに決まってる。
アバズレと、みんなが私を罵る言葉通りの女になってしまったんだから。
「動画の男との関係なんて知らねぇけどさ、俺わかるんだ。片想いだよ。おまえがあの男に迫られてんだろ?」
どうしてそれを、早瀬が言い当ててしまうのだろう。
「新山に事情ちゃんと話せよ。そんでおまえの言葉を信じなかったらそれまでの男だってことだ」
「でも私は……あの人のキスを受け入れた。言葉だって。拒まなかった。それは変わらない」
「自分を責めすぎなんだよ。どう考えたって、弱ってる女を前に好き勝手する男が悪い」
「なんなの、早瀬のくせに」
拭っても拭っても涙が止まらない。
私を信じてくれた数少ない人を失うと思うと怖くてたまらなかった。
「べつに興味もないけど……早瀬だって私のこと気持ちの悪い淫乱女だって思ってるでしょ?」
「火のない所に煙は立たないって言うしなぁ。でも俺は平石が淫乱女でも幻滅しねーよ?」
うれしくないし、淫乱女のつもりもないけど、陰湿に追い詰められるよりこうして堂々と言葉をぶつけられるほうが何倍もよかった。
気が抜けてきて、ポロッとこぼれてしまう。
「……じつはさ、かなり厄介なことに巻き込まれてるの」
「男絡みか?」
「平たく言えばね。早瀬の身の上のために詳しくは話せないけど、これだけは信じてほしい。私は新山くん一筋だから。ずっと」
早瀬なんかになにを話してるんだろう。
まぁこいつはちょっと痛い目を見てもらうくらいがちょうどいいので、そこまで心配はいらない。