病んだ心をつまびいて




「まっ、て!やだ!しにたく、な、い!!」

「暴れるなよ。こうして、手首は縦に切るといいらしい」

「いやっ!にいまや、くん!!」





あんなに死にたいと思っていたのに、いざその時がくると人間は生存本能が働くらしい。



死への恐怖で頭が埋め尽くされていく。




新山くんは私の手首を持ち、その先端を縦に滑らせる。



赤い線が浮き上がった。

鮮血がこぼれ落ちる。




「やっと……おまえと死ねる。こうしてさ、最期は手首を合わせたまま朽ちよう。おまえと俺の血が混ざり合って、ひとつになるんだ」




うれしそうに五本の指を絡め、手首の表面同士をぴったりと合わせられる。




「お互いに傷をつければ、アッチに行ってもすぐ見つけられるだろ?大丈夫、おまえをひとりになんてしねぇよ。何度生まれ変わっても、平石の隣は俺のものだから」




いや、いや

死にたくない





「こわ、い……やめてよ、おねがい……」

「怖えの?ま、そうだよな。わかったよ。俺が先に切るから」

新山くんは私を放し、体を起こすと、迷いなく自身の手首に刃先を向けた。



 

「愛してるよ、平石」





穏やかに笑い、肌に食い込む鈍色。



「だめっ!!!」



気づけば飛びかかっていた。



新山くんが……しぬ?



そんなの、絶対にいやだ。

自分が死ぬ何倍も怖い。


生きて、幸せになってほしい。

想像すらしたくない。


けどそんなおぞましい現実が、目の前で起きようとしてる。




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