病んだ心をつまびいて
「ぐすっ、ひゅ、ぁう゛……ぅ」
ぎゅーっと気道を圧迫されて、自分の眼球が時折裏返るのを感じる。
このまま、ほんとに死ぬの?
「思い残すことあるか?ねぇよな?俺さえいれば」
「じにだく、な、い゛」
「俺はあるんだよ。あの、誰だっけ?平石のことネチネチと追い詰めて、俺にキスしてきた女」
華凛のことだ。
あのとき新山くんは、華凛に対してなんの反応も見せなかったけど……
「俺、平石以外の人間と話したくねぇからさ、あの女をどうやって口を使わずに黙らせるか考えてんだよ」
「ぅ、うう、はぁ」
「殴るにしても騒ぎになるだろ?それならやっぱどっか呼び出して、静かな空間で散々いたぶってから殺すことしか思いつかなかった。んなこと考えてたらキスされたんだよ、ごめんな?」
「に、やま、ぐ」
「やっぱあの女は殺しておけばよかった。俺の平石に余計な感情植え付けたゴミなんて、この世にいらねぇもんな」
爛々とした瞳に残忍な色が宿る。
「安心しろよ、平石」
「んっ、んん゛、ぁあ゛」
口内を隅々まで、ねぶりまわされる。
命すら奪うような、殺意に満ちた行為。
「こぉんなキス、おまえにしかしねぇから」
あんなにとぐろを巻いて鎮座していた強い嫉妬心が、一瞬にして消え去っていく。
しかしそれは安堵ではなく、身代わりを求めたくなるほどの絶望によってもたらされた虚無だ。
「さ、いい加減俺の気持ちがわかっただろうし。そろそろアッチ行こうか」
刃がギラリと照明を反射し、私を映し込む。