望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
必死に取り返そうとしたけれど、同じ年齢の子の中でも小柄な美紅が、ひとつ年上の百合華に叶う訳がなく、奪われてしまった。

いくら頼んでも返して貰えず、逆にしつこいと伯父母から叱られた。

その後美紅は騒ぎを起こした罰でテニスクラブにを辞めさせられて、授業が終わると真っ直ぐ家に帰る生活が始まったのだった――。



「ぼろぼろだわ。こんなところに置き去りにされてたなんて……」

 (せめて大事にしてくれたらよかったのに)

美紅はテニスラケットをそっと、手に取り抱きしめた。

結局百合華はこのラケットが欲しかった訳じゃなかったのだ。

美紅に相応しくないから取り上げただけ。
史輝からのプレゼントと言うのも気に食わなかったのかもしれない。

振り返ると学園生活は百合華のおかげで、酷いものだった。

京極グループ内の有力家の娘として、当時から一目置かれていた百合華が嫌う美紅を、皆が関わらないように避けていた。友達が出来なかったのはそのせいだと、今ならわかる。

唯一の拠り所だった史輝とも、ラケット事件の後、だんだん距離を置かれるようになってしまった。
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