望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
まさか史輝と一緒に見ることになるなんて。

訪れた幸福に心が弾む。

「史輝くん、ありがとうございます」

美紅は改まって史輝の頭を下げた。

いきなり船に乗ると聞いた時は驚いたけれど、美紅のことを考えてくれた選択だったのだと気付いたからだ。

まだ人前での食事が苦手で緊張してしまう美紅がリラックス出来るように、豪華すぎず誰にも邪魔されない環境。そして美しい夜景が眺められる場所。

おかげで心から楽しめている。

美紅の気持が伝わったのか、史輝が嬉しそうに頬を緩めた。

どこか近寄りがたい彼の美貌だけれど、今は親しみを感じることができる。

「本家での暮らしはどうだ? 困っていることはないか?」

「ええと……川田さんから私がやるべき仕事を教えて貰っているのですが、私が至らなくて上手くいかないことが多いです。でも川田さんと明日香さんが助けてくれているのでなんとかなってます」

「そうか。初めから完璧にこなせる人間はいない。無理しなくていいから少しずつ覚えていけばいいと思う」

史輝は明日香のことを知っているようで、彼女については触れなかった。
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