Runaway Love
昼までは一から仕事の流れと処理の仕方を説明し、午後以降は実践を兼ねて、いくつかの処理をさせてもらった。
ごちゃごちゃプライベートに口出しはするが、仕事に関しては何も言わない。
古川主任の主義はイマイチ良くわからないが、放っておいてくれれば問題は無いのだから、あえて自分から突っ込まないでおこう。
「それじゃあ、今日はここまでで。わからない事があれば、今でも、後からでもいいから聞いてください」
「ハ、ハイ」
「わかりました」
二人がうなづくのを確認し、あたしは帰り支度を始めた。
それから、帰りがけに商店街に寄って、食料品や、雑貨を必要最低限買いこむ。
やっぱり、連日の外食は気が引けるし、落ち着かない。
――それに、クセになったら、金遣いも身体も緩みそうで怖いのだ。
以前の様な感覚で手に取るが、一旦考える。
一か月の間で、どれくらい消費するかとか、珍しい食材をどう使えばいいのかとか悩みまくり、結局、帰ったのは七時半を過ぎていた。
そして、部屋に戻って、冷蔵庫に買ったものを入れかけて――うなだれた。
――……しまった……。収納量考えてなかった……。
自分の買い物袋に入ったものと、備え付けの冷蔵庫を交互に見て、大きくため息をついてしまう。
頼みの綱の冷凍庫も、そこまで広くはなかった。
「――……どうしようかしら……」
いつもの感覚で、作り置きをしようにも、三日分は無理だ。
冷凍庫もキツそうで、頭を悩ませる。
すると、不意にインターフォンが鳴り、あたしはモニター画面に目を向けた。
「――早川」
『おう、悪い。今出られるか』
あたしは、食材を置いたまま玄関のドアを開ける。
「どうかしたの」
「ああ、ちょっと神戸まで行って来たからよ」
そう言って、早川は小さなケーキの箱を手渡してきた。
「え、あ、ありがと……」
「――会社のウワサ、大丈夫か」
「え?」
「……その……見られたみたいだからよ」
あたしは、気まずそうな早川を見上げ、苦笑いした。
「今さらでしょう。本社でどれだけの目に遭ったと思ってんのよ」
「自虐ネタにするな」
「――でも、否定はしてないわよ。……本当の事だし」
「……いいのかよ」
「後ろめたい事はしてないでしょ」
堂々と言い切ると、早川は口元を上げる。
「――ああ、そうだな」
「で、コレは詫び代わりなの?」
「まあ、それも兼ねてるけど――ただ、お前、好きそうだと思って」
見上げる早川は、優しく微笑む。
その想いは、素直にうれしく思った。
「……ありがと」
「じゃあな」
それだけ言い、ドアを閉めようとした早川を見送る途中、あたしは慌ててそれを止めた。
「ま、待って」
「ん?」
「――ゆ、夕飯、まだ食べてない……?」
あたしの言葉に、早川は目を丸くしてうなづいた。
ごちゃごちゃプライベートに口出しはするが、仕事に関しては何も言わない。
古川主任の主義はイマイチ良くわからないが、放っておいてくれれば問題は無いのだから、あえて自分から突っ込まないでおこう。
「それじゃあ、今日はここまでで。わからない事があれば、今でも、後からでもいいから聞いてください」
「ハ、ハイ」
「わかりました」
二人がうなづくのを確認し、あたしは帰り支度を始めた。
それから、帰りがけに商店街に寄って、食料品や、雑貨を必要最低限買いこむ。
やっぱり、連日の外食は気が引けるし、落ち着かない。
――それに、クセになったら、金遣いも身体も緩みそうで怖いのだ。
以前の様な感覚で手に取るが、一旦考える。
一か月の間で、どれくらい消費するかとか、珍しい食材をどう使えばいいのかとか悩みまくり、結局、帰ったのは七時半を過ぎていた。
そして、部屋に戻って、冷蔵庫に買ったものを入れかけて――うなだれた。
――……しまった……。収納量考えてなかった……。
自分の買い物袋に入ったものと、備え付けの冷蔵庫を交互に見て、大きくため息をついてしまう。
頼みの綱の冷凍庫も、そこまで広くはなかった。
「――……どうしようかしら……」
いつもの感覚で、作り置きをしようにも、三日分は無理だ。
冷凍庫もキツそうで、頭を悩ませる。
すると、不意にインターフォンが鳴り、あたしはモニター画面に目を向けた。
「――早川」
『おう、悪い。今出られるか』
あたしは、食材を置いたまま玄関のドアを開ける。
「どうかしたの」
「ああ、ちょっと神戸まで行って来たからよ」
そう言って、早川は小さなケーキの箱を手渡してきた。
「え、あ、ありがと……」
「――会社のウワサ、大丈夫か」
「え?」
「……その……見られたみたいだからよ」
あたしは、気まずそうな早川を見上げ、苦笑いした。
「今さらでしょう。本社でどれだけの目に遭ったと思ってんのよ」
「自虐ネタにするな」
「――でも、否定はしてないわよ。……本当の事だし」
「……いいのかよ」
「後ろめたい事はしてないでしょ」
堂々と言い切ると、早川は口元を上げる。
「――ああ、そうだな」
「で、コレは詫び代わりなの?」
「まあ、それも兼ねてるけど――ただ、お前、好きそうだと思って」
見上げる早川は、優しく微笑む。
その想いは、素直にうれしく思った。
「……ありがと」
「じゃあな」
それだけ言い、ドアを閉めようとした早川を見送る途中、あたしは慌ててそれを止めた。
「ま、待って」
「ん?」
「――ゆ、夕飯、まだ食べてない……?」
あたしの言葉に、早川は目を丸くしてうなづいた。