りつとるね

リハーサルでの大失態

私立北斗中学校体育館――びっしりと生徒で埋まった空間に、静かな熱気が満ちている。
今日は全校生により合唱コンクールのリハーサルが行われているのだ。

そして、私、川原流音(るね)は、現在ステージ上で3年5組の伴奏中。
ちょっぴり練習不足だけど、たぶん大丈夫。だって、私、ピアノはちょっと自信ある。えへっ。

ーーほら、前奏弾き始めたら、場内がシーンとなったよ。背中に500人の視線を感じるわ! 

進学と芸術教育に力を入れるウチの学校で、合唱コンクールは一大イベント。
学年毎の課題曲と、オリジナル学級歌の自由曲で、全クラスが競い合う。
音楽の先生たちは、みな熱血教師。生徒もまじめでノリがいいから、どのクラスも結構熱くなって盛り上がるの。

――静かなAメロ。合唱が入ってきた。このくらいだったら初見でも弾けちゃうよ。タララ~ン♪……

このイベントのために、ピアノ伴奏と指揮ができる生徒を各クラスに割り振って編成してあるらしい。
で、ピアノを習っていた私は1年のときから伴奏者ってわけ。
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