夏に咲く君に、きっと恋する【完】
 許されざる禁断の恋、とも言うべきあの夏は、今でも鮮明に思い出される。

 夏が来る度に、格段と綺麗な空の青さや鼻をつく夏特有の匂いが、老いさえも、幸せも思い出させる。

 おじいちゃん、いや、蒼の事は私だけがわかっていたらいい。

 蒼の意外な一面も、本当に愛おしい人にだけ向ける笑顔も、私だけが知っていたらいい。

 ーーーおばあちゃんもちょっと畑に行ってくるから、凛は良い子にお留守番しててね、

 と私は弾む足取りで、今日も彼を追いかける。
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