高校生と大学生
 そこから数ヶ月たったある日。
 今度はハロウィンの新作が出た。
 もうそんな時期か。くだらない。
 と思いながらもお兄さんに会える楽しみの方が大きく、ハロウィンというイベントに感謝する自分もいた。

 1週間後の日曜、カフェに行くとお兄さんの姿が見えた。3回目だから見つけるのは簡単だ。特技にしようかな。と思う。

 そんな余裕をこいていたらお兄さんがレジ接客な事が分かり、一気にパニック状態になった。
 え、嘘。なんでレジに?
 え、どうしよう。でもたまたまレジにいるだけで接客していないかもしれない。大丈夫だ。落ち着け。
 気持ちを一旦落ち着けてからカフェに向かう。

 レジはやはりお兄さんだった。
 正直、終わった。と思った。
 何が終わったのかは分からないけれど

 私はお兄さんをこんなにまじかで見るのは初めてだし、なにより話すのも初めてだから緊張していた。
 (注文するだけなのだけれど)

 私は緊張して声が出なかった。
 するとお兄さんは微笑みながらメニューの
 新作を見てから私の目を見つめてきた。
 私は、はっと我に戻り、口早に
 新作のフラペチーノとケーキで。
 と言うと、お兄さんは少し笑いながら
 はい。ハロウィンフラペチーノとケーキ
 ですね。
 と言った。勘違いかもしれないけれど
 私の目をしっかり見ながら。
 でも私は目を合わせられないままだ。
 ケーキを受け取る際に、見えた綺麗な手と
 今日は両耳にかけた髪が強く印象に残った。
 そして、勇気を出して顔を上げた際に初めてしっかりと見た、正面からの顔は思っていたものとは違ったけれどやはり綺麗だった。

 そして、思った。
 この人に会いに来るための口実は新作のフラペチーノとフードになってしまっていることを。
 だから私は、新作が出たら日曜日にまた来ようと思った。まるでストーカーだなと苦笑しながら。
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