お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~





 終業間際、江上さんに小会議室に呼ばれた。
 病院のことを聞かれるのだろう。
 私は不安を隠し、平静を装って小会議室に入った。

 当然のようにカズは憑いてきた。
 席につくと、すぐに江上さんは切り出した。

「病院、どうでしたか?」
「すぐには診てもらえなくて。予約を入れたので一か月後になります」

「今日も調子悪そうでしたが、大丈夫ですか?」
「一応、大丈夫です」

 妊娠、言わないといけないよね。
 これから体調はどんどん変わるだろうし、見た目でもわかるようになる。休むことが増えるかもしれない。
 だけど、言いづらい。だいぶ変わったとはいえ、今も世間の未婚の母には風当りは強いだろう。

「男と密室で二人っきりってのが気に入らない」
 ぶつぶつとカズが文句を言う。
 あいかわらずの様子に、私は思わずふふっと笑った。

「どうしました?」
「ちょっと思い出し笑いを」
 私は慌ててごまかした。

 だけど、江上さんは難しい顔で私を見る。
「私はそんなに信用できませんか?」
 私は驚いて彼を見た。

「信用してます」
「ですが、本当のことを話してくれていませんよね?」
 見抜かれていて、私はまた驚いた。
 でも、本当のことなんて言えない。彼が幽霊になってここにいるなんて。

「私はあなたの力になりたいと思っています。話してもらえませんか?」

 どうしよう。
 私はうつむいた。
 妊娠のことは話したほうがいいのだろうけど。

「ここで話がしづらいようでしたら、仕事が終わってから、ゆっくりできるところで話しませんか? お酒でも飲みながら」
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