お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
「嘘だろ……。昨日まで、俺と一緒にって……」

 私は彼をにらむ。
「あなた以外なんて誰でも同じなんだから」
 言った直後、涙が浮かんだ。
 このまえから涙腺が緩みっぱなしだ。

「さっき、あなたがいなくなったと思って、ショックだった。一人で生きていく自信なんてない」
「それ……俺を愛してくれてるってことでいいのかな」

「こんなときに出て来るセリフがそれなの?」
 私は泣き笑いで彼を見た。

「だって、俺は君のこと愛してる。だから君に愛されてるのか気になるんだよ」
 私は泣きながら座り込んだ。

「え、ごめ、変なこと言った!?」
「言ったよ」

 思わず彼に手を伸ばす。
 彼も手を伸ばしてくれる。

 が、その手はやはりすりぬけてしまった。
 私は手を落とし、がくりと首を垂れた。





 ひとしきり泣いた私は、シャワーに入ってすぐにベッドに入った。
「カズ、いるよね?」
 カズはすぐに顔を見せてくれた。

「眠るまでそばにいて」
「いるよ。子守歌、歌おうか?」
 おどける彼に、なんだかほっとした。

「そばにいてくれるだけでいい。手を握って?」
 彼は布団から出した私の手に自分の手を重ねる。

 相変わらず通り抜けてしまう。なんの感触もない。
 だけど彼は、ずっと重ねていてくれた。

 私はその夜、なんども彼がいることを確認して眠りについた。



 翌朝、起きたら彼がいて、ほっとした。
「昨日、ごめんね」
 謝ると、彼はきょとんとした。

「私、ひどいこと言ったから……」
「なんだっけ」

「一緒に生きていきたかったって……傷付いたよね」
「ああ、それ! 気にしても仕方ないし、いいよ」
 カズはにっこり笑った。

 私の胸がずきっと痛んだ。
 今でもやっぱり彼は優しい。
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