お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
「まだってことは、狙ってたんじゃない!」
 茶髪の女性が叫ぶ。

「私、帰ります。ごゆっくりどうぞ」
 私はそろっと立ち上がった。

「置いていかないで!」
「黙りなさい!」
 ロングヘアの女性に叱られ、江上さんはびくっと震えた。

 私は上着を持って、個室を出た。
 料亭を出ると、カズが待ち構えていた。





 私が家に帰るまで、カズは黙って憑いてきた。

 アパートに着いてから、私は聞いた。
「あの人たち、カズが呼んだの?」
「そうだよ。間に合って良かった」

「なんであの人が三股してるってわかったの?」
「いや、それは……」

 言い淀んだ彼を見て、ピンときた。
「スマホ、盗み見たの?」
「あー……」
 カズは目をさまよわせた。

「だめよ、そんなことしちゃ!」
「君を守るためだよ!」

「だからって」
「それより」
 カズは私の非難を遮って、怒って私を見る。

「あの男とキスしようとしただろ! 浮気だぞ!」
「あなたはもう死んでるんだから浮気じゃないわ」

「妊娠してるとわかってる女性を誘うなんて普通じゃないぞ! 最低すぎるだろ!」
「もういいの、放っておいて」

「放っておけるわけないだろ! 男なら誰でもいいのか!」
 言われて、私は彼をにらみつけた。

「誰でもいいのよ」

 彼は息を呑んで私を見つめ返した。
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