お願い、成仏してください! ~「死んでも君を愛する」と宣言した御曹司が幽霊になって憑きまとってきます~
 私は梶尾さんを見た。
「昨日、やっと目が覚めたんだよ」
「ええ!?」
 驚きすぎて涙が引っ込んだ。

 梶尾さん、すごい誤解させる説明してきたよね?

「ジュース買って来るから」
 梶尾さんがそう言って部屋を出て行った。気をきかせてくれたのだろう。

 私は呆然と見送り、それから、カズを見た。
 カズはにっこりと笑って私を見つめ返す。

「ずっと君を想っていた。君を置いてなんていけない」
「嘘つき!」
 私はとっさに彼に怒った。

「死んだって言ったくせに!」
「俺も死んだと思ってたんだよ!」

「嘘つき、ボールペンって言ったくせに!」
 言いながら、彼の手にすがる。

 温かかった。ごつごつした感じも相変わらずだった。手首に包帯が巻かれていたし、手にも擦り傷はあったけど。
 でも、確かに彼の手だ。

 前言撤回。
 神様ありがとう!

 彼は繋いだ手をほどくと、私の頭を優しく撫でてくれた。

「俺を名実ともにパパにしてくれる?」
「あなた以外に誰がいるっていうの」

 また涙があふれた。
 私が泣き止むまで、彼は優しく頭を撫でてくれた。
 窓からは、明るい日差しが差し込んでいた。
< 45 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop