そんなの、嘘。

第三話


進級制作は、何とか期限内に終わらせた。



「これで二回生になれなかったら、マジ泣く!」
と、大学の校舎内で、誰かが言っているのを聞いて、心の中で激しく同意する。



大学からアパートまで、とぼとぼと歩く。



(この街に来てから、もう一年が経とうとしているんだ)



実感なんか、ない。

都会で暮らすことに憧れて、地元を飛び出したはずなのに。

行きたかった美大に通えて、満足しなくちゃいけないのに。



日々に追われて。

私は、この暮らしを楽しめてはいない。



風太がそばに居てくれたなら。



『何やってんだよ、お前さぁ、せっかくなんだから楽しまなくちゃ損だかんな』



きっとそんなふうに言う。

風太は前向きだから。

明るくて。

楽しい人だから。



きっと、一緒に居たら。

毎日がガラス玉みたいに。

キラキラしているはず。





アパートに帰って来た。

部屋の電気を付けようと、スイッチを押す。



「!?」

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