全部口から出ていく(たすけて泣)。
どうしようどうしようどうしよう!

もうすぐ春休みが来ちゃう。

もし春休みが来たら,次はクラス替え……

夜恵……やえとバラバラになったら,流石に泣く……。

霧香(きりか)は,1人部屋のベッドの上でぐるぐるとどうしよもないことを考えていた。

心配は要らない。

先月からである。

夜恵とは幼馴染みで,ずっと一緒だけど。

同じクラスになれたのは今年でたったの2回目だった。

連続で来年も同じ確率なんて,きっととても少ない。

好きなのに。

直ぐに可愛くないこと言っちゃう。

それが生まれつきの私。

それでも同じクラスにいられて嬉しかったのに



「離れちゃう~」



しくしくと人形を抱き締めて,私は嘆いた。

だってもう,明日からは4月だ。

春休みは,4月の終わりごろから。

つまり,中学最後の一年を夜恵と過ごせるかは,あとたったの1ヶ月足らずで決まってしまう。



「素直になれたらいいのに……
そう言えば,明日はエイプリルフールって言うんだっけ」



……



「ううん。だめだよだめ。嘘告なんてしたら,きっと夜恵はすっごく怒る。ゆるしてくれない」



真面目で優しいんだもん。

他の人がゆるしてくれても,きっと夜恵はゆるさない。

裏切られたって怒るはず。

そんなことしない,しない,けど。



「たまには気にして欲しい……
夜恵,だいすき」



言えないから人形に打ち明ける。

夜な夜なめそめそそんなこと考えてるって知ったら,離れていっちゃうだろうな……

男の子に生まれたかった。

そう思いながら,矛盾する願いを抱えて眠る。



"1度だけ,素直になれます様に"



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