かりそめ婚のはずなのに、旦那様が甘すぎて困ります ~せっかちな社長は、最短ルートで最愛を囲う~
「予算は三百万以内。そちらで適当に選んでもらうわけにはいかないか?」
選べなさそうな望晴を見て拓斗がせっかちに言うと、店員はやんわりとたしなめた。
「生涯における大事な選択になりますので、奥さまの好みを伺って、満足していただけるものをご提供したいと存じます」
このやりとりは、拓斗が初めてG.rowに来て、マネキンの着ている服でいいと言ったときの望晴の対応と似ている。
店員の気持ちがわかるだけに、手っ取り早く婚約指輪を買おうとしている自分たちが恥ずかしくなった。
(だって、生涯かけてないし、ね……)
ちらっと窺うと、拓斗も同じようなことを考えていたのか、苦笑いしていた。
「選びやすいものからお決めいただきましょうか?」
結局、気を利かせた店員の質問に答える形でなんとか指輪のオーダーができて、望晴はほっとした。
会計を済ますと、ちょうど閉店の音楽が鳴りだした。
入店から三十分足らずで婚約指輪を買ってしまったことに望晴は改めて驚いた。
時間は短かったが濃い時間を過ごして、望晴は疲れてしまった。
拓斗も同じだったようで、溜め息まじりに漏らした。
「なんだか疲れたな」
「そうですね。未知のゾーンだったので」
「僕もだ。でも、あの接客システムには改善の余地があるな」
仕事のことを思い浮かべたようで、拓斗は思案しながらつぶやく。
「接客システムですか?」
「そうだ。今、AIを使って効率的に接客できるシステムを作ってるんだ」
「セルフレジのようなものでしょうか?」
「いや、もっと複雑なもので、客と対話しながら、漠然とした要望にも応えられるものだ。それなら、今回のような場合でも、AIが瞬時に在庫をあたって、客を待たせることなく最適な商品を提案してくれる」
「それって人を介さないってことですか? 味気なくないですか? 特に婚約指輪のような特別なものが対象だと」
「高額なものだからこそ最適解が知りたいんじゃないか? 無駄な時間を費やす必要もないし」
「そう……ですか」
拓斗はAIが服を選んでくれるなら、きっと喜んでそれを買うのだろう。
(私と過ごす時間は無駄なの……?)
まるで望晴のような店員はいらないと言われたようで、さみしく思った。
精神的に疲れた二人は通りすがりのレストランで夕食をとって帰宅した。
選べなさそうな望晴を見て拓斗がせっかちに言うと、店員はやんわりとたしなめた。
「生涯における大事な選択になりますので、奥さまの好みを伺って、満足していただけるものをご提供したいと存じます」
このやりとりは、拓斗が初めてG.rowに来て、マネキンの着ている服でいいと言ったときの望晴の対応と似ている。
店員の気持ちがわかるだけに、手っ取り早く婚約指輪を買おうとしている自分たちが恥ずかしくなった。
(だって、生涯かけてないし、ね……)
ちらっと窺うと、拓斗も同じようなことを考えていたのか、苦笑いしていた。
「選びやすいものからお決めいただきましょうか?」
結局、気を利かせた店員の質問に答える形でなんとか指輪のオーダーができて、望晴はほっとした。
会計を済ますと、ちょうど閉店の音楽が鳴りだした。
入店から三十分足らずで婚約指輪を買ってしまったことに望晴は改めて驚いた。
時間は短かったが濃い時間を過ごして、望晴は疲れてしまった。
拓斗も同じだったようで、溜め息まじりに漏らした。
「なんだか疲れたな」
「そうですね。未知のゾーンだったので」
「僕もだ。でも、あの接客システムには改善の余地があるな」
仕事のことを思い浮かべたようで、拓斗は思案しながらつぶやく。
「接客システムですか?」
「そうだ。今、AIを使って効率的に接客できるシステムを作ってるんだ」
「セルフレジのようなものでしょうか?」
「いや、もっと複雑なもので、客と対話しながら、漠然とした要望にも応えられるものだ。それなら、今回のような場合でも、AIが瞬時に在庫をあたって、客を待たせることなく最適な商品を提案してくれる」
「それって人を介さないってことですか? 味気なくないですか? 特に婚約指輪のような特別なものが対象だと」
「高額なものだからこそ最適解が知りたいんじゃないか? 無駄な時間を費やす必要もないし」
「そう……ですか」
拓斗はAIが服を選んでくれるなら、きっと喜んでそれを買うのだろう。
(私と過ごす時間は無駄なの……?)
まるで望晴のような店員はいらないと言われたようで、さみしく思った。
精神的に疲れた二人は通りすがりのレストランで夕食をとって帰宅した。