本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
 さやかさんの卵焼き講座は、とても丁寧でわかりやすかった。

 彼女の実家の弁当屋おかもとの出汁巻き卵を元にしつつ、家庭で作りやすいようにアレンジしたレシピを教えてくれた。
 おかもとでは一から出汁を取るそうだが、手軽さを重視して市販の粉末出汁を使うレシピにしたそうだ。麵つゆを使ってもいいが、この方が砂糖と塩の量を変えられる。自分好みの味付けを作ることができるからと勧められた。

 そう言えば、圭君の好みはどうだったろう。確かめたことがなかったので今度聞いてみよう。

 焼く時も同様に、ポイントを押さえながらわかりやすく説明してくれたが、そうは言ってもなかなか難しい。卵焼き器を強めの中火でしっかり熱してから卵液を流し入れると言われるが、焦がしてしまいそうな気がしてつい焦ってしまう。
『多少焦げても上から巻くので大丈夫ですよ』と言われてからは、落ち着いてできるようになった。

 さやかさん曰く、自宅の調理器具のくせもあるため、早めに自宅でも作ってみた方がいいとのこと。復習が大事なのは料理も勉強も同じらしい。自分ひとりでできるか不安はあるが、せっかく教えてもらったことを無駄にはしたくない。とにかく練習あるのみだ。

 他にも、簡単に出来るお弁当レシピをいくつか教えてもらった。
 さやかさんが作ったものを味見したのだが、とてもおいしくて、これと同じものを自分が作れるとは思えない。そうこぼすと、彼女はふふふと楽しそうに笑ってから言った。

『旦那様ならきっと、〝香子さんの味〟を一番喜んでくれますよ』

 そうならいいなぁと思った。
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