本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
 押し返そうとしたら逆に手首をつかまれ、テーブルに押し付けられる。
 
「んっ」

 首すじに口づけられ、鼻から抜けような声が漏れた。身をよじって逃げようとするけれど、大きな体にのしかかられているせいで身動きが取れない。そうこうするうちにも彼の唇は首すじを這い、たまに吸い付いてくる。
ぞくぞくっと甘い痺れが背中を走った。

 スイッチの入った彼から逃れられたことは今まで一度もない。それでも問題がなかったのは、そうなるのがいつも〝夜〟だったからだ。
 
 このままではまずい。
 勝率ゼロの戦いにおののいているうちに、ブラウスのすそから侵入してきた手が一瞬でブラのホックを外す。締めつけのなくなった膨らみに彼の手が到達しかける。

 このままじゃ流されちゃう……!
 
「同意のない性行為は法律違反なんでしょ!」

 予測される感覚に備えて目を固く閉じたが、いつまでたってもそれが来ない。恐る恐るまぶたを開くと目の前に顔色を変えた彼がいた。

「け、圭君」
「ごめん」

 彼は口もとを手で覆い、顔を背けてうつむいた。
 思っていたより何倍もショックを受けている様子の彼に、私も動揺する。そこまでショックを与えるつもりなんてなかった。

「あ、あの、圭君、今のは別に――」
「本当に悪かった。もう二度としない」
「え?」

 ポカンとしているうちに彼は「髪乾かしてくるよ」とバスルームの方へ行ってしまった。  


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