君のブレスが切れるまで―on a rainyday remember love―

第5話 奏

 2015年 9月


 この国では義務教育となっている中学校。
 人生の半分を海外で過ごした私に、日本の学校へ通ったという思い出はない。とはいえ、そう大きく変わるものでもないようだ。ここは学び舎なのだから。


「それでは自己紹介の方を。宮城(みやぎ)さん」
「はい」


 チョークを手に取ると、ブラックボードへ名前を書き記していく。
 宮城(みやぎ) (あめ)、と。


「宮城 雨です。持病の療養でしばらく学校へ通学できていなかったのですが、この度は転入という形でこちらへとやってきました。よろしくお願いします」


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