契約結婚か   またの名を脅迫
契約の見直し
 婚約期間は長めに取る。
 その約束は、残念ながら早々に見直されることとなった。
 何故なら、希実と東雲が偽の婚約報告を会社にした直後、問題が勃発したからである。

「――ねぇ、正直に言いなさいよ。全部嘘なんでしょう?」

 場所は、ある意味おなじみの地下倉庫。
 社内で一番人目につかず、かつ外に声が漏れにくい場所だ。そして秘密裏に人を連れ込むには最適な場でもある。

「な、何の話ですか」

 希実を壁に追い詰めるのは、険しい顔をした花蓮。
 今日も緩やかに巻いた髪に、流行りのメイク、男性受けする服を纏い、隙のない『社内一の美人』だった。
 だが悪鬼さながらの表情が全てを台無しにしている。
 おそらく異性には決して見せない顔で、彼女は希実に食って掛かってきた。

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