塩系男子のステルス溺愛 クールで無愛想な義兄が、なぜか私にだけ甘すぎる件
 名前を大声で呼ぶ。しばらくすると、コウシャクが建物の陰からリードをつけたままたすくに飛びだしてきた。

「お前さ、でかい図体してるんだから、トイプードル相手にびびんなって」

 よしよしとコウシャクを撫でる。ひなたは安心して腰が抜けてその場に座り込んだ。

「よかった……」
「言ったろ? 困ったらちゃんと言えって」
「うん」

 あのまま一人で探していたら、コウシャクは見つからなかったかもしれない。

「行くぞ。ヒナ」

 さりげなく名前を呼ばれたことに気づく。
 ひなたじゃなくてヒナと愛称で呼ばれたことで少し距離が近くなったような錯覚を起こしそうだ。
 コウシャクとたすくと歩く夜道は、暗いのになぜか心細くはなかった。
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