前世恋人だった副社長が、甘すぎる
確かにはじめはクリスチーヌの生まれ変わりだから、穂花が気になっていた。
穂花を見た瞬間に恋に堕ちたのは確かだった。
だが、穂花と関わって仲を深めていくうちに、俺は菊川穂花自身に惹かれるようになっていた。
俺がマルクとは違うように、穂花は記憶の中のクリスチーヌとは違って庶民的で普通の女性だった。生まれてから、クリスチーヌとは全く違う人生を送ってきたからだろう。
だけどその素質自体は消えていないようで、彼女の話す高貴なフランス語や繊細なバイオリンに涙が出そうになったのは確かだった。
あの時は幸せだった。だけどその幸せは、すぐに絶望へと変わった。
前世でクリスチーヌが死んだ後、俺は酷く自分を責めた。愛しい愛しい人を、俺のせいで死なせてしまった……
村の者は俺を気遣い、飲み物やら食べ物やらを持ってきて元気付けようとしてくれた。
だけど俺はそれらに手を付けることなく、修道院の前で一人で祈った。
「次に生まれてくる時は、彼女を幸せにしてください。
私はどうなってもいい、例えこの身が滅んでも。
そもそも、なぜ彼女が死んだのだろう。
死ぬのは私で良かった、私が死ぬからクリスチーヌ様を生き返らせてください。
クリスチーヌ様に会わせてください!!」
……それで多分、俺も二週間後くらいに死んだのだろう。
それが最期の記憶だった。