前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「何をおっしゃるんですか?」
努めて平静に、そして明るく答える。
「私は副社長の秘書なんでしょう?
副社長のお仕事を、出来る限り側で支えます!」
「そうか……」
そんな泣きそうな顔をしないで欲しい。
副社長の意味不明なヘタレっぷりを正そうと私はもがくが……
「穂花」
甘く切ない声で、副社長がまた私の名を呼ぶ。
そしておもむろに、ピンクのマカロンを差し出す。
「これもどうだ?」
「どうって……」
訳の分からない副社長に、必死で抵抗する私。
こんな私の唇に、そっと触れるようにマカロンを付ける副社長。
もはや私の頭から、『氷の副社長』なんて言葉は抜け落ちていた。
ただ、目の前にいる熱くて狂おしい獣を、どうやって落ち着かせるかだけ考えている。