先輩の理性、疼かせてもいいですか?
羽田グループを、知らない人はあんまりいないと思う。

レジャーや商業施設、数えきれないくらいの事業を展開していて、
その勢いを上回る企業は無いって言われている。

ふたば先輩は生徒会長でありながら、羽田グループの御曹司で、その地位は絶対的だった。

私の立場が羨ましいって言われたって、本当はちょっと複雑だった。

だってふたば先輩が求めてるのは私の「細胞」なんだから。

心じゃなくて体を求めてるってことだよね…。
本当は好きな人がいるかもしれないのに。

それに私の家柄はごく一般的で、ふたば先輩に与えられる物なんてなんにも持っていない。

私は「勝ち組」だって言われるのかもしれないけれど、先輩にとっての利益は無いんだもん…。

「ま、とにかくお幸せにね!」

ゆいちゃんは放課後に彼氏とデートだからって、嬉しそうに手を振って校門を出ていった。

普通の恋愛なんてもうとっくに諦めていたけれど、やっぱりちょっと羨ましくなる。

念の為に口に含んだ抑制剤をカリって噛み砕いて、
私も生徒会室へと向かった。
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