問題児は座敷わらしで使う予定の言葉たち

主人公はどんな子

あの子は人が進めと言っても進まない。
躓いて転んだ時、助けようと手を伸ばしたって無視をする。
それは一見わがままで人の優しさを踏みにじるようなそんな行為だ。
しかし、本当にあの子の視点に立った時、なぜそうするのか気づくはず。

あの子はあの子自身が納得するまで立ち止まって考え抜く。答えが出せるまでただじっと待つ。
周りが答えを教えようと関係ない。
立ち止まることを恐れず、ただひたすらそこに立つ。
そうすると、次進む時に絶対に躓くんだ。そして転ぶ。
転ぶ経験がない人間はそこで寝転んだまま。
だから周りは手を貸そうとする。
立って歩けるように。歩いて進めるように。
それが普通だから。
だけどあの子はそうじゃない。
立って前を向いて歩くことだけを進むとは考えてない。床に倒れて、自分が動こうとするまで待つ。どんなに時間がかかろうと周りが呆れようと。
そして動くその時、きっとそれは歩くだけでは無い。驚くくらい速く走ったり、逆立ちしながらゆっくり進んだり時に後ろに全力で進んでみたり。
這いつくばって進むことも一つの方法。
そういう考え方。
だから、私たちの善意など必要ない。
あの子には、私たちはきっと優しさを押し付けてくる怪物にでも見えているのだろう。

自分の優しさが相手の優しさと重なることは少ない。

それを教えられたよ。
あの子は、変わってるけど、人一倍優しい子なのかもしれない。
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