結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 ──今から17年前。

 私が6歳の頃、バークリー家の領地に新しい教会が建った。
 正確にいうと何百年も前からある教会があまりにも古くなってしまったため、新しく立て直したのだ。

 広く綺麗な教会に人々は歓喜の声を上げた。

 私の姉も両親も新しい教会に目がいく中、私だけが古い教会に釘付けになった。



 なんて素敵なのっ!!



 まるで幽霊でも出てきそうな趣のある建物。
 所々が割れている窓からは、ボロボロになった中の様子が見える。


「お母様っ! 私、こっちの教会に行きたいわ!」

「ええっ? セアラ、そっちはもう壊す予定の教会なのよ。こっちの綺麗な教会の中に入ってみましょう?」

「いやっ! 私はこっちに入りたいの! お願い。私だけこっちに行ってもいいでしょう!? まだ開放前だから誰もいないんだし!」

「んーー……困ったわね」


 昔の私は、年の離れた姉と優しい両親に甘やかされていたせいか物怖じしないワガママな性格だった。
 天真爛漫だとよく言われていた気がする。
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