結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 いつもの愉快そうな意地悪モードじゃなかったから、嫌がらせだって気づくのに時間がかかっちゃったわ。


 
「はぁ……。殿下。そろそろ遊びはおしまいにして、真面目に妃候補の方を決めましょう」

「俺はいつだって真面目だ」

「期限が近づいてきているんです。私がある程度まで人数を絞りますから、殿下の好みの女性がどんな感じなのか教えてください」
 
「セアラ」
 
「え?」
 
「俺の好みの女はセアラだよ。これでいい?」


 ジョシュア殿下はムスッとした表情のまま、投げやりな言い方をしてきた。
 まだこの冗談を続けるのかと、いい加減うんざりしてしまう。

 
「殿下。真面目に答えてください」
 
「だから俺はいつだって真面目だけど」
 
「…………」


 こんな態度で吐き捨てるように言われ、どう信用しろというのか。
 ジョシュア殿下が自暴自棄になっているように見える。
 
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