結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

28 まさか、本当に殿下は私のことを……?


 あるの!? いつ!?



 あまりにもケロッと言われたものだから、余計に驚いてしまう。
 トユン事務官はそんな場面を思い出そうとしているのか、目線を斜め上に向けた。


「たしかに殿下はいつも意地悪をしてましたけど、セアラ秘書官をいじめているときは本当に楽しそうでしたし」



 それ、ただ殿下の性格が悪いだけじゃなくて?



「それに、仕事中も時折セアラ秘書官に視線を向けることも多かったですし」



 それ、ちゃんと仕事をしてるのか見張っていたんじゃなくて?



「あと、いくら殿下が意地悪でも、さすがになんとも思っていない女性相手に好きだなんて冗談は言わないと思います」

「…………」


 そんなことない……と否定したいけれど、できない。
 私自身も、こんな冗談は今まで言わなかったのにと違和感を抱いていたからだ。


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