結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 自分の置かれた状況に気づいたとき、ジョシュア殿下がニヤッと黒い笑みを浮かべた。
 見たことはないけれど、まるで悪魔の笑みだ。


「ねえ、セアラ。なんでフレッド殿下と2人きりでいたのかな?」


 口調は穏やかで優しいのに、威圧感がすごい。
 私はガタガタと震えそうになる手を包んで、なんとか声を絞り出した。


「さ……先ほど説明した通り、偶然会ったのです……」

「偶然? 騎士団がよく来る中庭で? なんでセアラはあの場所に行ったの?」

「それは……そ、外の風を浴びたくて……」

「へえーー。それで偶然フレッド殿下に会ったのか。……本当に偶然?」

「本当です……」

「実はこっそり会う約束をしてたんじゃなくて? セアラは今日やけに落ち着きがなかったし」

「違いますっ」


 これはウソではなく事実なので、目をそらすことなくキッパリと答える。
 私のその様子で、ウソはついていないと判断してもらえたようだ。
 ジョシュア殿下の尋問タイムが終わる。


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