結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
 ペンを走らせていた手が止まり、ジョシュア殿下がバッと顔を上げた。

 丸くなった黄金の瞳が私を捉える。
 その綺麗な瞳をそらすことなく真っ直ぐに見つめ返すと、殿下がボソッと小さな声で問いかけてきた。

 
「……なぜだ?」
 
「結婚に向けて準備するためです」
 
「!」

 
 私の発言を聞いて、ジョシュア殿下は持っていたペンを床に転がし、トユン事務官はガタッと大きな音を立てて椅子から立ち上がった。



 なんだか……すごく驚かれてるわ。



 2人から異様な視線を感じる。
 何かしら……と思っていると、ジョシュア殿下が口を開いた。


「結婚するのか? ……誰と?」

「え? ……あっ」



 そっか! 結婚準備って言ってしまったから、すぐに結婚すると思われたのね。
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