どうやら私、蓮くんに愛されているようです
恵那は薫子の病室にやって来た。
無機質な管に繋がれ眠っている薫子の表情は穏やかだ。

「社長、来週、いよいよお披露目ですよ。凄く良いものを送り出すことができそうです。でも……私、降ろされちゃいました」

恵那の頬を涙が伝う。
返事がないのはわかっているが、聞いてもらいたかった。
蓮の前で必死に我慢した涙が、滝のように溢れ出す。

「社長、いつ目を覚ましてくれますか?」

日が暮れるまでずっと、薫子に掛けられた白い掛け布団に顔を埋めていた。


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