どうやら私、蓮くんに愛されているようです
限界を超えた心
新商品のお披露目が終わり、発売前の予約数は過去最高を記録した。
上々の滑り出しに胸を撫で下ろす。

最後まで携わることはできなかったが、この商品がたくさんの女性の手に渡り、前向きな気持ちを与えられたら、それで十分だ。

私は私にできることをしよう。恵那は前向きな気持ちで次の企画を考え始めていた。

しかし、新商品発売から一ヶ月、信じられない現実を突きつけられる。

浅田美奈子、退職。

「私は自分が為すべきことを為すために行く」

直接本人から告げられた。

大手総合商社が新規事業を立ち上げるとことになり、管理職として引き抜かれたのだという。

蓮の言った通りになった。
美奈子は優秀だ。クソ役員達の中で埋もれてしまうよりも、評価してくれる会社で働いた方が美奈子にとって良いことだとは重々承知している。

だが、心から喜んで送り出せない自分もいる。
そんな自分が心底嫌になった。

これからは一人で戦っていかなければならない。 
一気に不安も押し寄せる。

こんなちっぽけな私に何ができるのだろう……

それでも恵那への追い討ちは止まらない。
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