心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
レオは1人で勝手に話してくるので、ただそれに答えていれば良かった。
マリアにはたくさん質問をしたことがあるが、あれはイエス・ノーゲーム感覚でとても会話とは言えない。
他にも、家の使用人や学校関係者、みんな必要最低限の質問や確認しかしてこなかった。
質問のやり取り、考察、そういった難しく真面目な会話であればできるが、たわいのない会話などはできない……というか、わからないのだ。
自分から進んで話しかけたり、長い時間会話をしたりしてこなかったグレイにとって、自分以上に無口なマリアと会話するということは難易度が高いゲームであった。
ひとまず、グレイは片膝を立てた状態で檻の前に座った。
それを見たマリアも、体全体をグレイの方向に向けてちょこんと座り直す。
「…………」
「…………?」
無言で見つめ合う2人。
無表情で冷静に座っているように見えるグレイだったが、実際はこの状況に戸惑っていた。