心を捨てた冷徹伯爵の無自覚な初恋 〜聖女マリアにだけ態度が違いすぎる件〜

20 ガイルという執事


 イザベラはやはりマリアに対して私怨がある。
 マリアを檻からすんなり出すことはできないとなると……グレイは自室の机に肘をつき、色々な策を考えていた。



 イザベラの弱みを握って脅すか?



 弱みとはもちろん『聖女監禁』のことだ。
 これを王宮に打ち明けると言えば、従うのではないか?


「……いや。ダメだ」


 誰かからリークされて捕まるくらいなら、自分から王宮にマリアを差し出しに行くかもしれない。

 ジュード卿の名誉を守るためになかなか決心がつかなかった……などと嘘をついて、監禁の事実を隠す可能性もある。

 そうなれば、イザベラの罪が軽くなるだけでなくマリアを王宮に取られる。

 1番最悪な結果になる。
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