心を捨てた冷徹伯爵の無自覚な初恋 〜聖女マリアにだけ態度が違いすぎる件〜

21 嫌な予感


「それで、監禁は地下になさいますか? 空き部屋になさいますか?」


 ヴィリアー家で1番長く働いている執事が、その当主を監禁する部屋の相談をしてくる。
 なんともおかしな話だ。


「あの女は監禁しない。お前がどんな反応するかと確かめただけだ」

「左様でございますか」

「いきなりあの女が姿を消しては、普段から連絡を取っている貴族や夜会での知り合いに怪しまれるだろう。……本当は監禁してやりたいけどな」


 こんな話をしていて、グレイはふと気になった。

 ガイルは、この屋敷で起こっている大抵のことは知っていると言っていたが、グレイの考えまでは知らないはずである。

 突然イザベラを監禁すると言っても、理由など一切聞いてこない。
 この執事はどこまで把握しているのだろうか。
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