心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 睨まれること、質問をされることがわかっていたかのように、ガイルは堂々とした態度でグレイを見つめ返した。


「……どういうことだ? お前は、この状況を知っていたな?」

「はい」

「知ってること、全て話せ」


 ガイルを睨みつけるグレイの顔は、冷血非情な冷めた表情になっていた。

 凍りつくような空気に、レオは背筋がゾクっとした。
 身を縮めながら2人の様子をうかがっている。


「いつものことでございます。イザベラ様がこの少女に暴力を振るわれていたことはご存知ですよね」

「知っているが、こんな全身……こんなに傷だらけになるほど、いつもやっていると?」

「はい。毎日ではございませんが。普段であれば、すぐに治癒の力で回復されています」

「今日は力が使えないから、このまま? まさか、毎月……こうなのか?」

「はい。月の隠れた日はお客様もお見えにならないので、お食事もされていないはずです」

「食事をしていないだって!?」


 レオが我慢できずに口を挟んできた。
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