心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 ガイルは顔色を変えることなく、淡々と質問に答えていく。


「はい。毎月この時期になると、3日ほど食事は与えられておりません」

「そんな……!! じゃあ、この怪我に熱の状態で、ずっと放置されてるってこと!? 食事ももらえずに!?」

「そういうことになりますね」


 レオはショックのあまり、口を開けたまま硬直してしまっている。
 2人が会話している間も、グレイはずっとガイルを睨み続けていた。


「それを知っていて、お前はマリアを放置していたのか? 助けることもせずに?」

「私は何も知らないことになっておりますので、手を出すことはできません」

「……お前も狂っているな」


 グレイは皮肉を込めて、囁くような小さな声で言った。
 その様子をマリアがじっと何かを言いたそうな顔で見つめていた。
 
< 176 / 765 >

この作品をシェア

pagetop