心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 このジジイ……。こんなに強かったのか?



 その時、イザベラが自身の足元にキーズの持っていたナイフが転がってきていることに気づいた。
 グレイが気づいた時には、イザベラはそのナイフを拾い上げて別邸の玄関扉に向かっていた。

 マリアのところへ行こうとしているに違いない。


「待て!!」


 グレイがすかさず追いつき、イザベラの腕をつかむ。

 母に触れたのはいつ以来なのか。
 こんな時だというのに、グレイは自分が母の身長に近づいていることに驚いていた。
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