心を捨てた冷徹伯爵の無自覚な初恋 〜聖女マリアにだけ態度が違いすぎる件〜

27 聖女の存在が王宮にバレた


 グレイもレオも、足を止めて遠くにうっすら見える門を見つめていた。

 今聞こえているこの警備隊の鐘の音。
 この音が本当にこの屋敷を目指しているのかを確認するまでは、とてもではないが動くことができない。


「これ……この家に向かってるのかな? な……なんで……」


 レオがビクビクした様子でグレイに尋ねてくる。
 質問系ではあるが、きっとレオもなんとなく察しているはずだとグレイは思った。


 聖女がいるとリークされたのではないか。


 マリアの存在を知っている貴族は多数いる。
 イザベラが家に呼んで、治癒させては報酬を受け取っているからだ。
< 207 / 765 >

この作品をシェア

pagetop