心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 その鬱陶しい視線から逃れるようにマリアの方に顔を向けると、マリアはすやすやと気持ち良さそうに眠っていた。
 顔がまだ少し赤いので熱は下がっていないようである。


「今日は私がマリア様についております。グレイ様やレオ様は安心してお休みになってください」

「ありがとう!」

「……わかった。頼むぞ」


 ガイルをその部屋に残し、2人はグレイの部屋へ向かった。
 部屋に入るなり「疲れたー!」と叫びながら、レオがベッドに飛び込む。

 ただマリアに会いに来ただけだったレオにとって、今夜の出来事はグレイ以上に緊張の連続だっただろう。
 それでも文句も言わず、良かったねと言ってくれるレオの存在はグレイにとってありがたいものであった。

 もちろん、グレイはその感謝の気持ちを言うつもりはない。

 それに、どっと疲れたのはグレイも同じである。
 2人はベッドに横になってすぐ、ぐっすりと深い眠りについた。
 同じベッドで寝たのは幼い頃以来のことであった。
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