心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 皆、息をのんだり小さな歓声を上げたりと、その光に釘付けになっていた。

 マリアと同じ年だと言っていたエドワード王子は、椅子から立ち上がっている。
 ぱっちりとした目や口を大きく開けて、その光景を眺めていた。

 だんだん黄金の光が小さくなりふっと消えると、周りからは「ほぅ……」っと艶やかなため息が漏れた。
 まるで感動的な舞台でも観ていたかのような反応である。

 マリアが腕を下ろすと、全員の視線がマリアから騎士の腕に移った。
 騎士は先ほどまでなかったはずの左腕を上に掲げ、泣きそうな顔でその腕を見つめている。


「おおおっ!! 腕が……!!」
「なんと……!!」


 周りから大きな歓声が上がる。
 拍手をしている貴族もいるようだ。

 騎士はマリアの前に膝をつくと、頭を下げながら感謝の気持ちを伝えた。


「聖女様。お礼の申し上げようもございません。今後はこの命、聖女様のために……」
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