心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「……ちび?」

「知らないのか? 背が小さい者をチビって言うんだ。この前隣の国の王子が教えてくれた」

「…………」

「お前本当に7歳か? 何でこんなに小さいんだ?」


 エドワード王子は頬を赤く染めながら、なんとか会話をしようと頑張っているようだった。
 自然と偉そうな態度になっていたが、元々このような態度で接しられることの多かったマリアは全く気にしていなかった。


「マリア、小さいの?」

「はぁ!? どう見ても小さいだろ? ほら、俺と比べてもこんなにチビだ」

「でもエドワード様もお兄様に比べたらちびだよ?」

「それはあっちのが年上なんだから当たり前だろっ!?」


 エドワード王子が叫ぶと、離れたところで見守っている執事や騎士たちのほうから「ブフッ」と噴き出したような小さな笑い声が聞こえてきた。

 エドワード王子は顔を赤くして「笑うな!」と叫んでいる。
 マリアは何か変なことを言ってしまったかと首を傾げていた。
 
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