心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 しれっと当たり前のように答えるグレイを見て、レオの顔色がどんどん青くなっていく。
 手に持っていたハンカチが、ポロッと床に落ちた。


「ま……まさか……。その進級試験を受けて合格したのか? 中等部だけじゃなくて、高等部の試験も!?」

「ああ」


 グレイの碧い瞳にやましい色はない。
 真っ直ぐ綺麗なその瞳に、ウソや冗談の色もない。

 レオは魚のように口をパクパクさせて驚いている。開いた口が塞がらないといった様子だ。


「マリアもいるし、学園に行ってる時間が煩わしかったからな。卒業して伯爵家当主としての仕事を本格的にやってるほうがまだおもしろ……」


 グレイがそう話していると、突然レオがガクッと膝を折って床に四つん這いになった。

 いきなりレオが倒れ込んだので驚いたが、グレイは改めてレオの膝の完治を目の当たりにした気がした。

< 320 / 765 >

この作品をシェア

pagetop