心を捨てた冷徹伯爵の無自覚な初恋 〜聖女マリアにだけ態度が違いすぎる件〜

44 え!? グレイの前でミアのキスを!?


「マリア〜久しぶり〜!」

「!」


 マリアが自分の部屋でパンケーキを食べていると、レオがニコニコしながら部屋にやってきた。
 久しぶりと言ってもたったの数日なのだが、マリアもなぜか久しく会っていなかったような感覚がしている。

 レオの姿を見たマリアは、すぐにフォークを置きレオのところまでかけ寄っていった。

 マリアにとってレオはグレイと同じくらい大切な家族のような存在であり、第2の兄である。『レオお兄様』と呼ぶことはグレイに禁止されていたけれど。


「レオ、来ていたの?」

「うん! グレイとマリアに会いにね!」


 レオはにっこり笑いながらマリアをぐいっと持ち上げると、そのままクルクルと回った。
 レオは細身だが騎士を目指しているだけあって腕力がある。

 マリアが落ちるのではないかとエミリーは心配そうにその様子を眺めていたが、マリアが楽しそうに笑っているので口には出さないようにした。
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