心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
マリアの目からはもう涙はひいたが、黄金の瞳は変わらず輝いていてとても綺麗だ。
その瞳でレオを見つめながら、マリアはポカンとした顔になる。
「マリアはエドワード王子のものじゃないのに、なんでだろう?」
「うん……。まぁ、だからグレイが怒ってるっていうか……」
レオは気まずそうな顔で斜め上あたりに視線を向けている。
これ以上余計なことを言わないように、できるだけマリアの瞳を見ないようにしているのだ。
マリアは、ミアのキスの意味を知れたというのに余計に謎が深まった気がした。
「いい? マリア。俺がミアのキスの意味を教えたって、グレイには内緒だよ?」
「うん、わかった」
顔を近づけてコソコソ話していると、レオのパンケーキを持ったエミリーが戻ってきた。
2人は何事もなかったかのように椅子に座り直し、その後は美味しいティータイムを楽しむことにした。